福岡市地下鉄 福岡市地下鉄
main_img

「第30回 福岡市都市景観賞」を受賞した建築 4選

福岡市には歴史的建造物や著名な建築家による建物がいくつもあり、それらが福岡の街の魅力を創り出していることに気づかされます。1987(昭和62)年、風格のある美しい街づくりと市民文化の向上に資することを目的として「福岡市都市景観条例」が定められ、同時期に「福岡市都市景観賞」も創設されました。記念すべき「第30回福岡市都市景観賞」(2023年12月発表)の受賞作品から福岡の街の魅力を創り出している建築をご紹介します。

【利用する駅】唐人町駅・天神駅・薬院大通駅・櫛田神社前駅

プレゼント1日乗り放題乗車券の提示で特典がもらえる!

アイコン01鳥飼八幡宮

唐人町駅より徒歩6分

過去から未来へつないでいく 神社の新しいかたち

大賞を受賞したのは、以前紹介した「鳥飼八幡宮」の式年遷宮。本殿の総建替えは江戸時代半ば以来、拝殿の建替えは205年ぶりです。1800年の歴史ある神社の本殿・拝殿の建て替え計画において、千年単位の時間を見据え、過去から受け継ぎ未来につなぐ素晴らしい景観を醸成しつつある点が高く評価されました。固定観念にとらわれない建築は、未来でも人々から親しまれることでしょう。

鳥飼八幡宮
日本の伝統家屋の屋根に用いられてきた技術で拝殿の外壁全体を覆う茅葺壁。その量塊感が「天の岩戸」のような原初的な空間を想起させる。こちらの拝殿は、「2023年度第17回建築九州賞」の大賞(一般建築部門)も受賞
鳥飼八幡宮
巨石は古くから世界中で信仰の対象とされてきた。拝殿を支える10本の石柱は、岡山市沖の犬島で採掘されたたもの
鳥飼八幡宮
拝殿の奥にある本殿は、神社建築では最も古い様式といわれる伝統的な神明造。奈良県吉野産の檜で組み上げている
鳥飼八幡宮
内壁は左官職人による黒漆喰、床はレンガ。どちらも自然に還る素材を使用している

ハッケン!
そのほかの建築物も賞を受賞

そのほかの建築物も賞を受賞

「鳥飼八幡宮」の本殿と拝殿は、一級建築士事務所二宮設計が設計。対拝殿と祖霊殿(写真)の設計も手掛けており、対拝殿は2024(令和6)年1月に公表された「第10回福岡県木造・木質化建築賞」の大賞(木造の部)、祖霊殿は「2021年度グッドデザイン賞」を受賞している

アイコン02福岡大名ガーデンシティ

天神駅より徒歩3分

天神ビッグバンの西のゲートとなる シンボリックな建築

市民投票による「市民賞」を受賞したのは、2023(令和5)年6月に全面開業した「福岡大名ガーデンシティ」。ホテル、商業施設、オフィスなどからなる複合ビル「福岡大名ガーデンシティ・タワー」をはじめ、「福岡大名ガーデンシティ・テラス」「福岡大名ガーデンシティ・パーク」「福岡大名ガーデンシティ・ステージ」で構成されています。積水ハウス株式会社、西日本鉄道株式会社、西部瓦斯株式会社、株式会社西日本新聞社、福岡商事株式会社からなる大名プロジェクト特定目的会社がプロデュース、「マリンメッセ福岡B館」を手掛けた株式会社久米設計、「照葉のまちAQUA CORT」を手掛けた株式会社醇建築まちづくり研究所による共同企業体が設計を行いました。「2023年度グッドデザイン賞」も受賞しています。

福岡大名ガーデンシティ
「福岡大名ガーデンシティ・タワー」は、門をモチーフにデザインしている。建物の分節によって圧迫感を軽減し、中央のスリットはエントランスの視認性を強化、セットバックさせることで明治通りから人の流れを引き込むように設計。前後に雁行する造りは、江戸時代に多くの武家屋敷が並んでいたという大名エリアのかぎ型路地に着想を得たもの
(撮影:株式会社エスエス 上田新一郎)
福岡大名ガーデンシティ
博多べいをモチーフにした外壁。貫通通路の天井は明治通り側からは近未来的な金属質に見え、広場側からは落ち着いた木目調に見えるようになっている
福岡大名ガーデンシティ
商業フロア「BIO SQUARE」の床と壁の左官材の中には、旧大名小学校の校庭の土を混ぜている。「ガーデンシティ」の名に相応しく館内も緑がいっぱい
(商業フロア共有部分設計:株式会社スペース)
福岡大名ガーデンシティ
「福岡市都市景観賞」では、旧大名小学校の記憶を受け継いで既存樹木を活かしながら、囲む建築壁面への緑化も積極的に実施して、大名地区に豊かな緑の空間を創出した功績が評価された
(撮影:株式会社エスエス 上田新一郎)

ハッケン!
9店舗が西日本または九州初出店

9店舗が西日本または九州初出店

商業フロア「BIO SQUARE」には18店舗あり、注目のショップや有名なレストランを誘致。地域に住まう人や働く人々、観光で福岡を訪れる人々にとって、日常を豊かにしてくれる店舗が入居している

アイコン03ボタニカルライフスクエア(福岡市植物園内)

薬院大通駅より徒歩15分

花や緑と調和して 周囲の景色に溶け込む 多目的スペース

ランドスケープ部門賞を受賞したのは、2023(令和5)年3月にオープンした「ボタニカルライフスクエア」。一人一花運動の拠点である「福岡市植物園」において、花や緑のあるライフスタイルの発見、発想、発信を生み出すことに活用できる施設です。建築家の瀧光夫さんがデザインした既存の展望台を背景に、植物園との風景と一体となるように建物を配置。2024(令和6)年1月に公表された「第10回福岡県木造・木質化建築賞」の優秀賞(木質化の部)も受賞しました。設計はアトリエサンカクスケール株式会社で、「八女市健康増進施設 べんがら村」のリニューアルなどを手掛けています。

ボタニカルライフスクエア
水平ラインを基調にしたデザインで開放性は高く、植物園の樹々や草花のように風景の構成要素となっていると評価。屋上緑化は、厚さ6cmで高木が育つという特殊な土壌に、アジサイやモミジなどを植栽し、四季折々の変化を楽しむことができる
ボタニカルライフスクエア
天井には福岡県産の杉板を使用。小さな部材で三角形や六角形のユニットを構成し、その組み合わせが互いに支え合うことで建物全体を安定させ、大きな空間を生み出せるレシプロカル構造という特徴的な工法を採用している。広さ137㎡のホールでは講座・展示会・マルシェ・アートイベントなどさまざまな活用が可能(イベント利用の手続きはホームページを参照)
ボタニカルライフスクエア
広さ26㎡で落ち着いたリビングのようなサロン。植物の魅力を体験しながら休憩や読書などを楽しめる
ボタニカルライフスクエア
ホールとサロンで建物を分け、展望台がある奥へ人々を呼び込むように配慮して道を通したという

ハッケン!
テラス席から福岡市の街並みを一望

テラス席から福岡市の街並みを一望

「ボタニカルライフスクエア」のホールとサロンの間にある通路を抜けると「展望台カフェ」がある。ピザやパスタといった食事メニューのほか、アップルパイなどのスイーツもある

アイコン04010 BUILDING

櫛田神社前駅より徒歩7分

食とエンタメが融合した 最旬のナイトスポット

建築部門賞を受賞したのは、2022(令和4)年12月にオープンした「010 BUILDING」。らせん型の外装が印象的で、建物に表と裏を作らないデザインです。周辺の光を反射するメタルパネルは見る時間や角度によって色やそのフォルムが異なり、昼夜連続的に変化する姿が福岡の水辺に新たな魅力を生み出しています。閉鎖的な大空間であるシアターを上階に持ち上げ、地上階に水辺とまちをつなぐ豊かな公共領域を創出したことも高く評価されました。

010 BUILDING
らせん型のメタルパネルの隙間から建物内の様子をうかがうことができ、周辺を歩く人の目に留まり、自然と中へ招き入れるようなデザイン
010 BUILDING
デザインアーキテクトはアメリカ建築家協会、ニューヨーク市、アメリカ航空宇宙局(NASA)などからの受賞歴を持つClouds Architecture Office(写真)。基本設計・実施設計・監理・シアター内装をNKS2アーキテクツ+中原拓海建築設計事務所JVが担当し、ランドスケープデザインをRLA・技術士の浅田英司さんが担当した
010 BUILDING
「イマーシブシアター」と呼ばれる没入型のエンターテインメントレストラン「THEATER 010」。写真はステージ上からの眺めで、花道でなくとも客席にかなり近いことがよく分かる。世界で活躍するパフォーマーによる臨場感抜群のショーを楽しんで
010 BUILDING
世界最大のバーテンダーコンペティション「ワールドクラス2015」で世界チャンピオンに輝く金子道人さんがプロデュースする「BAR 010」。「THEATER 010」のショーが始まると、壁側の扉が開いてカウンター席から観ることができる。天井の赤いリボンとロープは現代アーティスト・緊縛師であるHajime Kinokoさんの作品

ハッケン!
レストランの顔ぶれもワールドクラス

レストランの顔ぶれもワールドクラス

「010 BUILDING」にはシアターやバーのほか、「アジアのベストレストラン50」に6度ランクインしている福山剛さんがオーナーシェフを務める「Goh」、「アジアのベストレストラン50」で過去4回1位を獲得したシェフのガガン・アナンドさんと福山さんがコラボした「GohGan」(写真)が入居している

※2024年3月1日現在の情報です

気に入ったらいいねをタップ